目次
第1 バイオマス活用推進についての基本的な視点
1「バイオマス」という和製英語の解釈と規定
2 計画策定の目的
3 計画期間
第2 現状及び課題について
1 バイオマスの発生及び利用の現状
2 各バイオマスの現状及び課題
第3 バイオマス活用推進に当たっての基本的な方針
1 地球市民としてのバイオマス活用の推進
2 有用微生物の必要性の普及
光合成細菌物語
3 循環型社会形成の鍵、勿体無い精神
4 二大バイオマスの活用推進
5 根本的、普遍的、大局的見地
第4 目標達成のための取り組み
1 住民参加型社会の推進
2 日本人の国民性の復活
3 有機の里創り
4 生命産業の創出
5 バイオマス活用を軸にした新たなライフスタイルの提示
第5 推進体制について
1 推進体制の連携
2 草の根の力
3 希望の光
NPO法人 猿島野の大地を考える会による
バイオマス活用推進計画
第1 バイオマス活用推進についての基本的な視点
1.「バイオマス」についての解釈と規定
グローバリゼーションの現代、地球温暖化現象と放射能汚染の問題は、未だ未解決で人類全体の未来に暗い影を落としています。しかし、この地球的二大難問を作ってしまったのも、私たち人類です。一刻も早い根本的、普遍的、包括的解決が求められています。
私たちは、最初「バイオマス」という和製英語を「生物体量」と解釈し、その範疇を大別して「動物、植物、微生物(化石資源を除く。)」としました。しかし、途中で、国が基本法や基本計画に謳っている「動物、植物に由来する有機物である資源」という解釈も、「バイオマス活用」という範疇では、理にかなっていると判断し、国の解釈にも添うことにしました。
2.計画策定の目的
長期的視点に立って、又、人類、世界という大局的視点に立って、国民の理解と意識の醸成を図りながら、住民参加の形でバイオマス活用の推進をはかっていく。
3.計画期間
猿島野の大地を考える会が存続している期間
第2 現状及び課題について
1. バイオマスの発生及び利用の現状
坂東市は、山林は比較的少なく、木材系のバイオマス産業は育たない状況にあります。そして、東京に比較的近いので、農業は盛んで、特にネギや白菜、トマトなどの生産量は高いです。生ゴミに関しては、約10年前、坂東市として合併する前の旧猿島町時代には、EM(有用複合微生物群)の生ゴミ用EMぼかしの無料配布制度が合併直前までの九年間続き、周辺の自治体で可燃ゴミの焼却費用が最低を記録しました。猿島町は環境意識の高い町で、茨城県で「住民参加型」という冠のついた環境基本計画を最初に作りました。NPO法人 猿島野の大地を考える会の一人が、環境基本計画作成の時の審議委員に選ばれ、その後、住民参加型を具現化するのに官民協働で、一年間のモニター期間を経て、モニターさんの感想を聞いた上で、この制度が実施されました。しかし、合併後は、この制度はなくなりましたが、この住民参加型は民主主義社会の最適な方法の一つだとその時確信しました。
2. 各バイオマスの現状及び課題
平成28年に出された国のバイオマス活用推進基本計画の中のp.9の「2025年、平成37年における目標」を見ると、ほとんど全ての分野が順調に進んでいるとあります。ただ、食品廃棄物の分野で、消費者の生ゴミ
の分野だけが、利用率が低く、目標値もそれに応じて低いです。農作物非食用部もすき込みは除くと、やはり低くなっています。
第3 バイオマス活用の推進に当たっての基本的方針
1. 地球市民としてのバイオマス活用の推進
私たち、現代人は物質文明、機械文明のお陰で、大量生産、大量消費により多くの人が便利で快適な生活を送れる様になった反面、大量廃棄の問題が待っていました。廃棄されるものをどの様に活用するかが、待ったなしで問われています。
その解決策を機械文明に頼ると、そこにまた、温室効果ガスの問題が浮上し、地球温暖化に繋がってしまいかねません。又、「カーボンニュートラル」は植物が成長の過程で光合成により、大気中から二酸化炭素を吸収し、今度は植物を燃焼させた時二酸化炭素を排出するが、前に吸収してあったので、二酸化炭素の量は増減なしということを意味していると思います。これは即ち、プラスマイナスゼロということです。所が、どこまでもプラスの方法があります。それは、二酸化炭素を吸収する有用な微生物を活用することです。しかし、昔と比べて、その有用な微生物が大地、大気、水の中に激減しています。そして、微小で見えないが故に、全く重要視されていません。その存在と大切さに気付いてもらって、住民一人一人が生活の中で身近な生ゴミ、米のとぎ汁、農業などを通して、有用な微生物を活用した生活改善実践をすることで、大地、大気、水の中に微生物を増やしていくことが求められています。
私たちは、宮澤賢治的世界観を拠り所に、争いのない、環境を汚さない社会の実現を願って活動し、もったいないピースエコショップと、地球温暖化防止と放射能を減少させる力のある微生物にたどり着きました。微生物の名前は光合成細菌と言います。生ゴミは、人類存在する限り世界中で日々出る永遠の課題です。この微生物と生ゴミを組み合わせ、大地に還元することでいい堆肥になり、より安全で元気な農作物が育ちます。この地球的規模の二大難問を解決することで次世代や社会のお役にたち、自分も元気、安心、希望が頂けます。
世界中の人々が地球市民という自覚を持って、人類の命運がかかっている今こそ、身近な生ゴミを通して光合成細菌のような嫌気性の有用微生物を大地に還元し、地球全体を修復することが早急に求められています。
2. 有用微生物の必要性の普及
昔、顕微鏡のない時代、日本人は見えない微生物の存在と力を感得し、実生活の中に活用して日本文化を構築してきました。特に食の文化は、味噌、醤油、酒、納豆、漬物などなど、現代でもなくてはならない、微生物を活用した発酵、保存食品です。乳酸菌、酵母菌、枯草菌、放線菌、納豆菌などなどの有用微生物の一つが、光合成細菌です。
地球温暖化防止と放射能減少の力をもった、この微生物の重要性を皆さんに理解していただくために、会として拙いながら「光合成細菌物語」を作りました。
光合成細菌物語
おれの名前は、人呼んで光合成細菌。まったくの自然児で、僕という柄でないんで、これから自分のことを、おれと言わせてもらうね。あしからず。
では早速始めるね。おれはどこかの町の小さい池に長い間住んでいたんだよ。ある日突然、どこかのおじさんとおばさんがやってきて、おれはバケツで泥と一緒にくみあげられて、どこかへ連れていかれたんだよ。
連れて行かれた先は、以前住んでいたところとはまるきりちがって、昼間はお日様がさんさんとふりそそぎ、おまけに食べたこともないおいしい食事つきで、おれは夢見心地でどんどん分裂して、仲間がどんどんふえていったんだよ。時々おばさんが見に来て、ふたをあけてうれしそうに「ずいぶん赤くなってきたわ」などと言っているのが聞こえたよ。
ちょっとここで寄り道して、おれたちの一大特徴をみんなに知らせておくね。おれたちは生まれつき酸素が嫌いで、植物と同じに二酸化炭素が好きなんだよ。それに、おれたちの名前、おぼえているかい。光合成細菌。光合成っていうのはさあ、植物がお日様の光を二酸化炭素と一緒に体に入れて、葉緑素をつくることなんだよ。ここで、今度は国語の勉強です。すききらいの好きという言葉ときらいという言葉は、漢字の訓読みでは何と読みますか。わかる人は手を上げてください。はい正解です。好きはこう、嫌いはけん、だから酸素を好きな性質を好気性、嫌いな性質を嫌気性というんだよ。あなたたち、好気性。おれたち、嫌気性というわけ。それとさあ。おれのことを見に、おばさんが連れてきた人が、「くさーい」って言っていたなあ。するとおばさんが「赤いのと、このにおいが、光合成細菌の特徴なのよ、許してやって。」と答えていたよ。
別のおばさんの仲間の人もおれたちのとこのぞいて「うちもこんくらい赤くなったよ。こんどもってくっから顕微鏡で見てくれっか」って言ってたよ。
おばさんがおれたちのことを、いつもこうふんしながら人に話すのを聞いていたんだけど、おれたちってどうもずいぶん人の役にたっているらしいんだな。悪臭をとったり、ヘドロを少なくしたり、鶏に飲ませるとさあ、お腹の中のサルモネラ菌がいなくなったり、鶏糞もにおわなくなるんだってさ。金魚や熱帯魚の水槽の中の二酸化炭素や糞を食べて、水をきれいにしてくれたりね。
この間、おれたちを自分の責任で家族中で飲んでいるという人が現れたんだけど、家族皆、元気なんだってさ。おれたちは百度以上の熱でも死なないから、煮沸して雑菌はなくして、おれたちだけにして、飲むんだって言ってたよ。
それからね、農業でもおれたちがすごく役に立っているって、おばさん自分の子供のように自慢していたよ。おれ照れるなあ。
おれたちや他の微生物仲間が一緒に、空気中や土の中の炭素や窒素を固定し
て、植物にあげるから肥料がそんなにいらないんだってさ。それに、おれたちは人間が困っている硫化水素やメタンガスや二酸化炭素やアンモニアなどが、エサとして必要だから食べているだけなんだけど、人間のほうではそれが大助かりみたいなんだよ。それからさあ、おれたち自分の体から核酸やビタミンB12やカロチン、アミノ酸など出すんだけど、核酸は傷ついた遺伝子を修復するんだって。すごいよね。ビタミン、カロチン、アミノ酸なんかは、野菜やくだものの色をよくしたり、栄養価を高くするんだってさ。
所で、みんな連作障害ってきいたことがあるかい。同じ畑に同じ作物を何年もつくっていると、作物が病気になって治らなくなるんだよ。フザリウム菌という菌がその連作障害の犯人で、それをやっつけられるのがおれ様といいたいところなんだけど、そこまでは問屋がおろさないんだな。その正義のウルトラマンは、放線菌といって、ペニシリンなんかの仲間なんだってさ。じゃあおれの役目はなにかというと、驚くなよ。おれが死んだあとの死体さ。それが放線菌の大好物で、おれたちの死体をむしゃむしゃ食べて、じゃんじゃんふえて、フザリウム菌とたたかってやっつけてくれるんだってさ。
おばさんが、来る人来る人におれの話をいろいろするから、自分のこともわかったし、おれが生まれてきたことで役に立っているということがわかってほんとにうれしいよ。おばさんありがとうよ。
おれさ。この夏突然おじさん、おばさんに大きなお風呂みたいな中に入れられて、ほかの乳酸菌君や酵母菌君やなんかとまぜまぜされて、はたけに水と一緒にまかれて、はたけの中で暮らすようになったのさ。お日様は当たるし、水があれば自分が好きなところに動けるし、エサはあるし快適に暮らしていたら、またおばさんが誰かと話しているのが聞こえて「三回くらい、EMとこうちゃんまいたんだけど、ねぎもピーンとしてるし、ピーマンもピカピカしてたくさんとれていつもと全然ちがう気がするの」いつのまにかおれのこと、こーちゃんなんてなれなれしく呼んでるんだよ。まあいいけどさ。
この間は、おれたちのルーツ、ご先祖様の話を聞いたよ。人間様はサルから進化したと言われているけど、いつ頃から地球上に現れたか知っているかな。
人類最古の原人は、160万年前なんだって。今、西暦2010年というね。それは、キリストが生まれた年から2010年目という意味なんだよね。それでは、地球の年齢はいくつかな。46億年前、すなわち46億歳。では、おれたち光合成細菌のご先祖様は、どのくらい前だと思うかい。なんと30億年前だそうだよ。その頃の地球はどんなだったのか想像したことあるかな。二酸化炭素や有毒ガスや自然放射能で充満していて、生き物なんかなんにもいないちがう惑星みたいだったんだって。そこに初めて登場してきたのが、おれたち微生物というわけよ。おれたちやシアノバクテリアという嫌気性の微生物たちが、有毒ガスや二酸化炭素を吸って酸素を出して、放射能もエネルギーにした上に無害化して今のような地球のもとができていったというわけなんだって。
おれが一番驚いたのは、今の動物や植物のもとになっている細胞にも、おれたちが関わっているらしいということ。それがもし本当なら、長―い長―い目で見れば、動物や植物の元の元は、おれたちとつながっているってことだろう。それじゃ、みんな身内、家族ってことだよね。ここまで聞くとそこのところなぜだか知りたいと思うでしょう。ではもったいぶって話すね。おれたちもなにしろ30億年前から生きてきているわけだから、生きるか死ぬかというピンチが何度もあったんだよ。そのたびにほかの微生物と合体するという知恵で生き延びてきたんだって。それを人間は進化っていうそうだね。そして21億年前ついに動物や植物の元である細胞ができたんだってさ。そのころになると、地球に酸素がふえてきて、二酸化炭素を吸って生きているおれたち、嫌気性の微生物は生きにくくなってきたんだよ。そこでその苦境から抜け出すために、酸素が好きな好気性の微生物と合体して、動物の元となる細胞が生まれたんだということだよ。動物がすべて好気性なのは、おれたちの祖先と合体したその好気性の微生物が、ミトコンドリアといって細胞のなかの呼吸をつかさどっているからなんだってさ。驚くよね。一方さ、植物のほうはね、シアノバクテリア、日本語だとラン藻類というんだけど、それとおれたちのご先祖様が合体して、植物のもとの細胞ができたんだって。
この前、おれのいる畑の近くで、おじさんとおばさんがひなたぼっこしながらお茶飲んでたんだけど、その時おばさんが「地球創生から今まで46億年を460メートルとすると、人類の誕生は20万年前で、ゴール手前のたった2センチにしかあたらないんだって。じゃあ、石油が見つかって使い切るまでを2百年としたら0.02ミリというわけ。今の私たちはずっと石油文明の中で生きてきてるから、ずっとあるような錯覚におちいっているのよね。」するとおじさんが「恐竜がほろんだように、人類もこのままいくと、自分が作った核や、戦争や欲望で自滅しちゃうかもしれないよ。微生物が、長―い長―い時間をかけて合体とか共生という知恵で生き延びてきて、動物や植物につながり、そこからようやく人類にたどりついたのにもったいないことだ。今度の事を教訓にして、人類が生き延びるにはどうすればよいかを考えて、みんなで実行に移していこうとするのが、本当の人類の英知というものだろうにね。その時は今しかないんだよなあ」
おじさん、おばさん、おれたち、光合成細菌をどんどんふやして、汚れた地球をきれいにして、動物も植物もなかよく暮らせるようにしておくれ。おれたちもがんばるからさ。
NPO法人 猿島野の大地を考える会 制作
私たちの会が、最初にバイオマス、生物体量(生物資源)を三つに大別したのは、「光合成細菌物語」を読んで頂けばわかりますが、壮大な地球史の中で、微生物という大前提の存在がなければ、動物、植物の存在はあり得なかったので、三つの総称と考えた次第です。
3. 循環型社会形成の鍵、勿体無い精神
この循環型社会の象徴的姿は、江戸時代にあります。なんでも活用され整理された社会は、本当に見事だったと聞き及びます。人間のし尿さえも貴重な資源で、野菜や米と交換され、運ばれ、しばらくは肥溜めで自然界にいる微生物によって分解された後、大地に肥料として活用されました。もちろん生ゴミも、掃いた落ち葉や土と一緒に、掃き溜めで、やはり微生物で自然に堆肥化され活用されました。米のとぎ汁のぬか分も栄養があるということで、排水に流さず、植物にかけ、活用されました。稲わらも、燃料やむしろ、わらじにもなり、買い物もビンや容器を持って行き、何も使い捨てはありませんでした。全ての物が手つくりで貴重だったので、最後まで活用されました。
このなんでも活用する精神は、日本の大昔の農耕社会だった大和時代の大和魂に根幹をなす、自然の偉大さに対する畏敬の念と自然の恵みに対する感謝の念から生まれたもったいない精神から由来したものだと思われます。百科儀典で「大和魂」を紐解くと「知識ではなく、知恵」とあり、もったいない精神との密接な関係がうなずけます。
このもったいない精神は、循環型社会の形成に不可欠であり、日本人としての中核をなすアイデンティティーであり、次世代に引き渡すべき貴重な精神的財産です。
3. 二大バイオマスの活用推進
国の新しいバイオマス活用推進基本計画のp.9の「2025(平成37年)における目標」によると食品廃棄物と農作物非食用部は、まだ活用率が低いとあります。特に、食品廃棄物については、食品リサイクル法により食品製造業の廃棄物はバイオマス活用の目標に達しているとあります。しかし、食品流通業や国民が出す生ゴミについては目標に達せず、分別が不完全な生ゴミについては日本全国と言わず、世界中でほとんどが焼却されている状況です。正に、ここにこそ私達の会が活用を推進している有用微生物の出番です。
一例を紹介しますと、現在まで市がNPO法人 猿島野の大地を考える会との委託事業で十数年実施している「米のとぎ汁流さない運動モニター制度」があります。それは、米のとぎ汁の糠分が排水を汚し、下水汚泥を増やすことから、有用微生物を活用していい発酵液に変え、様々な生活改善に活用するという制度です。この糠分は、食品廃棄物でもあり、農作物非食用部でもあります。
この食品廃棄物の主役でもある生ゴミを光合成細菌と組み合わせ、又、農作物非食用部や畜産廃棄物も光合成細菌や他の有用微生物と組み合わせると、地球温暖化防止や放射能の軽減化につながるだけでなく、大地に微生物が住み着き、有機的な大地になっていき、経済的でかつ安全な農産物になります。
これこそが環境を汚さない持続的な社会の姿ではないでしょうか。
5.根本的、普遍的、大局的見地
宮澤賢治的世界観に立脚して活動してきた猿島野の大地を考える会は、環境問題を根本的に解決できる道を模索し、実験と検証を経て微生物にたどり着きました。そして、この真実を地球の修復、生物や人類の存続という大局的見地から普遍的に広げていくことが、今の時代に最も希求されていると考え、このバイオマス活用推進計画を申請することを正道と位置づけ、市に長い間要望書を出し続け、千名以上の署名を提出し、働きかけてきました。そして、四年ほど前に市から肯定的なお返事があり、出向きましたがその後なんの進展もなく、がっかりはしましたが、勿体無いのでしっかり忘れず、別の分野の活動を続けていました。昨年隣市の地球温暖化防止推進委員の訪問を受け、その存在を知り、私たちの会から三名地球温暖化防止推進委員になり、その実行計画の中に私たちの会がその申請を願い続けていたバイオマス活用推進計画との繋がりを
知り、パブリックコメントを提出しました。そこで、バイオマス活用推進計画を担当している県の農政課と繋がりを持つことができ, 坂東市の市長さんや関係課長さんとも話し合いの機会を持つことができ、長年の念願であった坂東市発のバイオマス活用推進計画が生まれるかもしれない可能性に一歩近づきました。しかし最終的には、国のバイオマスについての解釈が、私たちの解釈と根本的にちがっており、坂東市の実状も国の解釈にそぐわない為計画申請は見送られてしまいました。そこで、自分たちの会独自のバイオマス活用推進計画を作って、いつの日かそれが実現する事を信じて、一歩一歩実践していこうということになりました。
第四 目標達成のための取り組み
1.住民参加型社会の推進
地域の主体的な取り組みと住民参加を兼ね備えた一例をまず紹介させていただきます。旧猿島町の頃、生ゴミ問題を官民協働で取り組む間に信頼関係が醸成され、私たちの会は、用水路のヘドロと悪臭での町民からの苦情について職員から相談を受けました。その頃まだEMに排水浄化力があるかどうかわからなかった私たちの会は、会誕生から一度も休まず続けている月一回の定例会で話し合い、EMの排水浄化実験をやることになりました。三ヶ月間週一回の割合で、用水路の一定の区間にEM液を灌注し、これも月一回ずっと続けてきた水質検査で調べた所、驚異的な数値を得ました。(この検査結果を知りたい方は、会のホームページをご覧下さい。)
その上、その実験中に、排水を汚しヘドロの原因となる主な犯人は、米のとぎ汁と廃油と合成洗剤であるということに気づきました。この気づきのお陰で、それ以後、米のとぎ汁や廃油を活用して、安全で万能なEM液体石鹸を作るようになり、安価に販売して皆さんに悦ばれています。これもバイオマス活用の一例です。このように、環境を汚すものを反対に微生物と合わせて活用することで、環境浄化や生活改善につながるという知恵が、バイオマス活用にはあります。
そして実験でEMの排水浄化力を検証できた私たちの会は猿島町と、ヘドロの原因となる米のとぎ汁を、EM活性液で発酵液にし、様々な生活改善につなげる「米のとぎ汁流さない運動モニター制度」を考案しました。それは、EMの活性液をモニターさんに月一回無料配布し、モニターさんは米のとぎ汁とEM活性液で発酵液を作り、それをあらゆる生活改善に活用し、活用された後も微生物が公共下水道の排水浄化に貢献し、下水汚泥の減少にもつながるという内容です。これも、国が達成すべき目標、環境負荷の少ない持続的な社会の実現に寄与するのではないでしょうか。この制度は猿島町の時に始まり、坂東市になっても現在まで続いているので、もうこの委託事業が始まって十数年になり、現在百名ほどのモニターさんがいます。最後に、米のとぎ汁の中の糠の部分が排水を汚し、最後に下水汚泥になるということで、米のとぎ汁も未使用バイオマス、廃棄物系バイオマスに入ると判断できます。(このパンフも会のホームページにあります。)
そして同様に旧猿島町時代、住民参加型を具現化したEM生ゴミぼかしの無料配布制度は、9年間続き、周辺の自治体で焼却費が最低を記録。住民参加による、微生物を活用した生ゴミの自家処理法の正しさを立証しました。又、ある年には、一人当たりのゴミの搬出量が県で最低になったとも聞きました。又、住民が持ち込む粗大ゴミ置き場の中で、活用できるものは、仕分けして並べ、希望者に無料提供する制度もあり、数年後に作られた立派な建物は、その名の通り、リサイクルセンターと呼ばれました。このように住民参加型の効能は、多々あります。
そして、私たちの会は坂東市になって平成23年3/11の後、光合成細菌が放射能を軽減する力があると聞き、半信半疑で市の測定機で調べた所、他の試料より低い減少率を示しました。下に実験結果を載せます。
この実験結果は、前述の排水浄化実験結果などと、会のホームページ peaceecoshop.com のトップページの上にある「主な活動内容」の中の「有用微生物の普及」の中にも掲載されています。
その後、会のゴミ関心部会「四季の会」で生ゴミと光合成細菌の組み合わせで実践した所、悪臭もなく、嫌気性であるという性質上、すぐ土に埋められて、かつてのEM生ゴミぼかしよりも処理が簡便で長続きし、だれでもでき、その上、地球的二大難問の解決にもつながるという結論に達しました。丁度その頃茨城県から「コミュニティ協働事業」の「地域の課題は地域で解決」という募集があり、四季の会と坂東市くらしの会で「EMの中の主役、光合成細菌による生ゴミの簡便な自家処理法と安全な社会創り」という題名で応募した所採択され、その助成金も充てて光合成細菌を培養するビニールハウスを建てました。そして、市の後援でフォーラムも開催し、市の環境基本計画にも私たちの会が紹介されました。その後も、四季の会、くらしの会、猿島野の大地を考える会の会員が、会から光合成細菌を購入し、生ゴミ処理を継続しています。又、市の直売所でも販売、普及しています。近い将来、かつての猿島町のように、一定期間モニターさんに試してもらい、その結果で光合成細菌の無料配布制度が坂東市で実現することを願っています。
住民がバイオマス活用の意義を理解し、実践することで、住民自らの中に元気、安心、希望、という現代の物質文明、機械文明の中では手に入れることができない栄養素も手に入れることができます。その上、同じ価値観を持った人たちの間に連帯感が生まれ、社会に活気が広がります。そのような住民が増えれば増えるほど、自然界に光合成細菌が増え、地球的二大難問も解決の方向に少しずつ近づき、社会的機運も高まります。
そこで、その制度が実現した暁には、私たちの市と平将門を通して繋がっていて、未だ放射能の被害が心配されている南相馬市に、この制度を伝え、住民の力で少しでも放射能が軽減すれば、未来に希望が見出せ、次のステップに進めると思います。私達の会のもったいないピースエコショップ事業でも、これまでに200万円以上を、南相馬市へ支援してきました。
又、この間ノーベル平和賞を授賞した「I can 」にも、この住民参加の光合成細菌による生ゴミ処理法を伝え、核被爆者の方々が日常生活の中で実践し、実感して下されば、世界平和と環境保全を願っている日本国民なら自主的に実践してくれると思います。
又、地球温暖化防止法の元に全国にいる推進委員さんたちにも実践、普及していただければ大きな広がりを持つと思います。
又、中国やインドの大気汚染にも、なんらかのいい影響があればにいい関係が生まれると思います。
次は、未使用バイオマスの農作物非食用部についてです。それは、稲わら、籾殻、ぬかなどで、それらは、光合成細菌と組み合わせるとこの上なくいい堆肥になるという実例があります。籾殻と光合成細菌とは特に相性がよく、光合成細菌入りの籾殻は、短期間でいい堆肥になり、通気性、通水性がよく、軽いので作業がし易く、いい土壌になり、安全で美味しい農産物につながります。もしこの堆肥が農業に役立てば、ネギの生産量が多い坂東市で、ネギの連作障害を直したり、有機農産物に近づくなど、農業振興に大いに役立つと思います。
そこで、猿島町時代に作られた立派なリサイクルセンターを活用して、光合成細菌と籾殻はもちろんのこと、畜産廃棄物や他の未使用系バイオマスとの堆肥化実験をしていけば、更なる明るい未来が待っているかもしれません。
2.日本人の国民性の復活
日本の古代社会、大和時代の農耕社会で生まれた大和魂は、「自然の中に神宿る」という自然信仰で自然を大切にしてきた特性があります。そしてそこから「勿体無い精神」が生まれ、それを原動力に「大和魂」の意味の一つ「知識ではない知恵」が生まれ、長い間受け継がれて、日本文化を形成して来ました。
しかし、それが物質文明、機械文明の進みすぎで、大量生産、大量消費、大量廃棄が当たり前になり、地球温暖化問題が深刻になって来ました。大量廃棄されるバイオマスをどのように活用するか、日本人の国民性、大和魂である「勿体ない」から来る知恵の出番です。
ここに、もったいないの気持ちから生まれた「もったいないピースエコショップ」を紹介します。平成六年、自生農場という自然養鶏場で、余剰の卵や鶏糞、余剰野菜がもったいなく、同時に働く張り合いも欲しくて、その売上を平和活動をしている所に寄付し支援することを思いつき誕生しました。同時に環境保全普及のため、EMや光合成細菌、安全で万能な手作りEM液体石鹸などのエコ製品も加えました。途中で余剰野菜を届けてくれる共鳴者が数人現れ、現在まで順調に支援が続けられています。これらの野菜も廃棄物系バイオマス、未使用バイオマス両者に適合、包括されると考えます。ショップ誕生からこれまでに、三千万円以上をユニセフ、ペシャワール会、南相馬市などに支援でき、私たちも自分の時間を有効に充実して活用でき、元気、安心、希望、連帯感など人間的栄養素も頂いています。
ある時私たちの会では、1948年第二次世界大戦終戦後三年目に、英国でOxfam(オックスフォード大学とfamine飢えの合成短縮語)というチャリティーショップが時代の必要性からか一店でき、現在では世界中に一万店近くあると知りました。
一方、私たちのもったいないピースエコショップも広がれば、現代の不安定な世相に希望の一石を投じ、日本人のもったいない精神と平和を願う気持ちが伝わる契機になり、地球的規模の二大難問の解決法を伝える契機にもなり、世界全体で地球市民という意識が育ち、国民的詩人、宮澤賢治言う所の「イーハトーヴ」(世界共通語、エスペラント語で理想郷という意味です)に近づくと思い、「もったいないピースエコショップを広げる事業」を会の定款に加えました。
現在二号店、三号店が誕生しています。このもったいないピースエコショップが、世界の人々に受け入れられ、広がっていけば、現代版循環型社会の一つの姿ではないでしょうか。
しかし、これは遠大なテーマで、時間がかかるでしょう。そして、平成二十八年にできた国のバイオマス活用推進基本計画のp.8の2025年の目標に「国際的な連携の下でのバイオマス活用」については数値目標を設定しないとありますので、現状を見ながら時間をかけて、色々な方面の方々の教示や協力をいただきながら進めていけたらと考えています。
そして、もう一つ、日本人の国民性の復活には、勿体無い世代の人々の存在が欠かせません。現在ではバイオマスと総称される物を、知恵でなんでも活用して、終戦後の物不足の時代を生き抜いてきた人たちは、日本の大和魂の核でもある「もったいない」を継承し、実践してきた立派な誇り高き世代でした。そのもったいない世代の人たちが高齢化を迎え、あの頃とは全く違う機械文明、物質文明の只中に置かれ、残りの人生をどのように生きたらいいかが問われています。このもったいない世代の人たちこそ、この文明社会のマイナス面である大量廃棄の問題に答えられる生き方をしてきた人たちです。人類ある限り永遠にだす生ゴミやし尿、畜産の糞尿などの廃棄物系バイオマスも、稲わらや籾殻などの未使用バイオマスも、かつてはもったいない世代の人たちによって全て完全活用されていました。このもったいない世代の人たちが、昔とったきねづかを発揮して、これからも人類永遠の課題である生ゴミを、光合成細菌と組み合わせ、土壌に還元し、元気な農産物に変えてくれれば、大地に微生物が住み着き、同時に地球温暖化防止と放射能軽減という地球的規模の二大難問が解決の方向に向かい、社会に大きく貢献してくれます。
これから、人生百年の長寿社会が待っています。年齢を重ねてもできる範囲で、家事や農作業を続け、家族や次世代や社会にできるだけ負担をかけずに、むしろ社会の為になって感謝され、それを生きがいにすれば人生を全うできます。又、その後ろ姿を見せることが、後に続く人たちの何よりのお手本になって、もったいないという貴重な精神文化が伝承されていきます。それは同時に認知症予防や医療費の削減にも繋がり、社会に活気を与えてくれます。このように国民が次世代や未来社会のことを考えて、自主的に自分の生活の足元から行動する社会こそ、安倍首相が提唱している「国民総活躍社会」と言えないでしょうか。
最後に、元気な高齢者の方には、出前講座などでお話しさせてもらい、かつて環境負荷の少ない持続的な社会を構築して来た実績をたたえ、これからは一緒に足元からできることでもったいない精神を発揮し、次世代に後ろ姿を見せ、持続的な社会のタネを蒔いていきましょうと呼びかける所存です。
下に、住民参加を奨励する意味で、「年をとらない玉手箱」という歌の歌詞を載せます。
年をとらない玉手箱
一、 気づかないだけだよ 誰もが持ってるたましい
天から唯一の贈り物 天から唯一の贈り物
ここに元気の源あり ここに元気の源あり
歳をとらない玉手箱 気づかなきゃもったいない
気づかなきゃ 生まれてきた甲斐がない
生きてる間に 掘り起こそう 掘り起こそう
二、 気づかないだけだよ 誰もが持ってるたましい
天に通じる受話器だよ 天に通じる受話機だよ
ここに正義の源あり ここに正義の源あり
歳をとらない玉手箱 気づかなきゃもったいない
気づかなきゃ 生まれてきた甲斐がない
生きてる間に 出会おうよ 出会おうよ
そして、もう一つ大事なするべきことがあります。それは、かつて循環型社会を形成して来た日本人の国民性であるもったいない精神を受け継いで来たもったいない世代の人々が、徐々に減少して来ている昨今、そのもったいない精神を復活させ、環境負荷の少ない持続的な社会を実現させる構成員を増やしていく必要に迫られているということです。
少子化で、その上豊かで便利な時代に生まれ育ち、自然や生活からも遊離しがちな現代の子供さんたちが、これからどんな時代が待っているかもしれない不透明な未来に向けて、生命力や生活力を培う教育が早急に求められています。
ユネスコで日本政府が提案し、全会一致で採択されたというESD(Education for Sustainable Development, 持続可能な発展のための教育)と、私たちが考案した体験学習である「もったいない教育」とを結びつけ、これからの次世代やその親の世代に、どんな時代が来ても立ち向かえるヒントになるかもしれないと思い、会として「もったいない教育」を小中学校で普及していけたらと願っています。その際には、会の核でもあり、老若男女誰にも親しまれている国民的詩人、宮澤賢治にもご登場願い、「光合成細菌物語」や「もったいないは 二つのエコ」「家族」「ゴミ拾いおすすめの歌」などの歌も採り入れ、生涯学習的にやっていこうと思っています。
前述の出前講座ともったいない教育は、私の三年間のゴミ拾いから生まれたゴミ関心部会「四季の会」のメンバーや毎月の会の定例会に出席する会員達と協力して取り組みたいと思っています。
「もったいないは二つのエコ」「家族」「ゴミ拾いおすすめの歌」は、「国民的詩人 宮澤賢治から生まれた歌」という題名のCDの10曲の中に「年をとらない玉手箱」と一緒に入っています。千円で購入して頂ければ、それもペシャワール会に寄付させて頂きます。
3.有機の里創り
大地、大気、水全てに有用な微生物を増やすことは、永続性のある地球環境を維持していく上で、避けては通れない問題です。大昔の世界は、人口も少なく、人々は人力で、自然界にいる微生物の力を借りてバイオマス活用し、自然と調和しながら、農業、漁業、林業、生活などを営んでいました。そういう時代でしたから、微生物の数は均衡を保っていました。
しかし、文明の進歩と世界人口の増加で、状況は一変しました。世界経済は複雑になり、経済性だけを追求する傾向になり、地球温暖化現象や放射能汚染という、このまま進行したら、人類や生物が誕生する前の地球の劣悪な環境に近づくことになり、人類の存続すらも危なくなります。地球的規模で昔の健全な環境に戻すには、この時だけは文明の技術を活用して、大量の有用微生物を製造して、自然に還元するしかありません。それには、食の安全(放射能軽減)と気候変動(二酸化炭素を吸収)も修正してくれる光合成細菌などの有用微生物を活用する農業に移行して行くことが最も賢明です。
「有機」とは元来「生命」を意味し、有機農業とは、微生物を活用することで、昔の農業は全て有機農業でした。現代農業は今の所、主にその源が石油資源である化学肥料と農薬に頼っていますが、石油資源も有限でいつかは枯渇します。その前に、次のステップを考えておくことは大切だと思います。
「現代農業」という雑誌の出版社で、「光合成細菌」という特別号を出したのも、将来の農業を見据えての正しい判断ではないかと思います。そこには、廃棄物系バイオマスと未使用系バイオマス、両者とも光合成細菌との組み合わせで、簡便でいい堆肥ができ、それを活用することで病気の被害も少なく、いい農作物ができ、経費がかからず、大地に微生物が住みつくことで、持続性のある大地になるという実例がたくさん載っていました。
会の代表がライフワークとしてやっている平飼い有精卵の自然養鶏も、餌作りにEMや光合成細菌を活用しています。そして、鶏舎には最初に籾殻を敷き詰め、そこで自由に排便し、自由に動き回っていますが、全く悪臭もなく、いつの間にかいいEM鶏糞ができ、これも大切な「もったいないピースエコショップ」の支援の財源になっています。同時にこれを使ってもらうことで、大地に微生物が住み着き、現代の二大難問も解決に導いてくれます。このような好循環の世界を、農業や生ゴミ処理を通して作っていくことは、大地に微生物を増やす最良の方法であり、次世代やそこに暮らす人たちに、元気、安心、希望、連帯感を与えてくれます。これが本当の有機の里と言えないでしょうか。これが真実であり、広まれば、有機農業を目指す人たちが集まってきてくれ、後継者問題、廃屋問題、耕作放棄地の問題にも解決の糸口が見つかるのではないでしょうか。
そこで、国の「地域おこし協力隊」の制度を活用しその人材で、かつてはよく活用されていた旧猿島町時代の立派なリサイクルセンターで、実例に基づいた堆肥づくりとその効果を検証する実験をしてもらうのはいかがでしょうか。リサイクルセンターの隣地には、市で運営している市民農園があるので、そこで農園の利用者さん達の承認も得て、実験検証するのも公認の存在を得られる機会ではないでしょうか。今の所、借りる人が少なく空いているところもあるので、そこも活用して、効果があれば、借り手も増え、いい宣伝にもなり、農業者や肥料屋さん達の関心も得られ、肥料屋さんで販売品目を増やしてもらえれば、自然と有機の里に移行するでしょう。
4. 生命産業の創出
現代文明がこのまま進行すると、生物が誕生する前の毒ガスで満ちていた地球創生の時代に方向性だけは向かっていくと思います。その方向性を変えるためには、大昔地球を生物が住めるような環境にもっていってくれた微生物を大量に生み出す産業を創出する必要があります。将来的には、国家的事業としてこの生命産業を創出することは、地球的規模の環境再生であり、世界に元気、安心、希望、連帯感を与えてくれ、被爆国であり、核保有国でもなく、平和憲法を大事にしてきた日本の資質をさらに高め、指導的地位を確立してくれるのではないでしょうか。
そして、光合成細菌は二酸化炭素を吸い、水素を出すとのこと。この水素を水素自動車に活用できないでしょうか。又、二酸化炭素を吸って、酸素を出すのはシアノバクテリアとのこと。まだまだ地球再生に必要な微生物はいるはずです。こういう時こそ、文明の力を活用する人類の英知を期待します。
又、地震国でもある日本は、いつ又3・11のような大地震が襲って来るかわかりません。そのためには原子力発電所がないことが一番いいのですが、ある以上はいつもそれに備えなければなりません。
5. バイオマス活用を軸にした新たなライフスタイルの提示
私たちの会が活動の拠り所にしている宮澤賢治的世界観とは、「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してそれに應じていくことである」という賢治の言葉に集約されています。即ち、全ての人が天と繋がっている魂を自らの中に内包しており、正しく強く生きるとは、その魂の声に順って銀河的視野で生きることであるというように解釈されます。その考えに則って、会の基本理念は、全ての人が天と繋がっている自由な魂の持ち主であり、その点において、全ての人は平等であり、その自由な魂に基づいて行動することが必須条件という意味で、「自由な魂、平等、行動」となっています。
宮澤賢治を会の中核に据えたのは、私が不惑の歳を過ぎても、まだ真に納得できる生き方に達していず、家族の関係が契機で極限状況に落ち、そのどん底から這い上がる過程で、それまでわからなかった賢治の詩の数行の中に、真に納得する答えを見出したことから始まります。その後、自分のうちに内包されている魂に出会い、それに沿って生きる方法としてたどり着いたのが、自然と社会両方につながっている道路のゴミ拾いでした。それを約3年近くやったお陰で魂が自分の中に住み着いてくれ、賢治言う所の「有機交流電燈の一つの青い照明」になることができました。その間や直後に、ゴルフ場の問題で「猿島野の大地を考える会」の誕生があり、「もったいないピースエコショップ」の誕生があり、会のゴミ関心部会、「四季の会」の誕生があり、こちらの働きかけで、旧猿島町で12年間続いた、月一回全戸配布のボランティア広報紙「茶はなし」の誕生があり,これらは全て、天と繋がっている魂でみんなが繋がりあった所産であると感謝しています。そして、賢治の人間定義によって、自分が元気に再生の道を歩んでこられたこの真実を一人でも多くの人にわかってもらいたく、これまでにその軌跡を四冊の本にしました。
そして、そのゴミ拾いや有機的な交流から、バイオマス活用を軸にした建物も生まれました。代表的な一つが「私の宮澤賢治かん」です。宮澤賢治を具現的に生きる方法としてのゴミ拾いで出会った廃材、廃物を活用して、自生農場のあるじが仕事の合間に三年かけて作りました。「かん」が平仮名であるのは、私が宮澤賢治をどう観るかの「観」と建物としての「館」を暗示しています。館内には、私がゴミの山から見つけ出してきた、知恵から生まれた日本文化の香りのする物などが並べてあり、又、私の四冊目のCD本「とりあえず症候群のあなたへ 副題 宮澤賢治的世界観より」のCDから私の拙い歌が流れます。もう一つの建物は、もったいないピースエコショップの人気物である「EM液体石鹸と卵油の工房」です。その他にも、もったいない物を、持ってきたり持って行ったりするのに活用された「リサイクルハウス」や、会の年二回の交流行事の時などに活用する「燻製室と工作室を兼ねた工房」。これらは全て廃材、廃物の賜物で、会の代表の手作りです。最後の「もったいないピースエコショップ」は、平成6年に生まれ、形がないまま約20年の時を経て、最初は会の代表が作った育雛室が、廃材と廃物も大いに活用して、会員の大工さんによってショップに生まれ変わりました
この様に、もったいない精神から知恵が生まれ、日本文化は形成されて来ました。農耕社会であった大和時代から受け継がれて来た、日本人の国民性である大和魂がその根幹にあります。
グローバリゼーションの現代、この営々と受け継がれてきた大和魂の「もったいない」を、数年前女性初のノーベル平和賞を受賞したマータイ女史が絶賛し、環境を守る世界共通語「MOTTAINAI」としてひろめることを提唱しました。 即ち、環境3R + Respect = MOTTAINAI を意味します。
Reduce(ゴミ削減)、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化)という環境活動の
3Rをたった一言で表わせるだけでなく、かけがえのない地球資源に対する
Respect(尊敬の念)が込められている言葉が「MOTTAINAI」ということです。
現代に世界共通語として認められたという事は、日本人の国民性である大和魂が世界に認められたという事で、こんなに名誉な事はありません。
「私の宮澤賢治かん」平成9年に完成し、未だに雨漏り一つしません。
私の宮澤賢治観は、人は誰でも天とつながっている魂を内包しており、それに順って生きる事が「真に生きる」ということだとみます。私の三年間のゴミ拾いは、その自分の魂に出逢い、今なにをすべきか、魂の声に耳を傾けそれに沿って生きる事で、沢山のことが生まれ、真の元気を頂きました。
上が「卵油と石鹸の工房」 下が「燻製室」と「工作室」を兼ねた工房です。
「もったいないピースエコショップ」
前述の「MOTTAINAI」を世界にひろめるキャンペーンは、地球環境に負担をかけないライフスタイルを広め、持続可能な循環型社会の構築を目指す世界的な活動として現在も展開しているそうです。私達の会が、定款に載せた「もったいないピースエコショップを全国各地に広げる事業」は、このキャンペーンを具体的に広める格好な実例にならないでしょうか。もしこの主旨に賛同し、もったいないピースエコショップをやってみたい方がおられたら、この名称と仕組みが同じならば、フリーマーケットの様に、ショップの形が無くても可能です。是非、ご連絡下さるか、当地をお訪ね下さい。お待ちしています。
今後、これらバイオマス活用を象徴する建物や、元気、安心、希望、連帯感を生み出す新しいライフスタイルを通して、坂東市を「宮澤賢治ともったいないの里」として理解していただき、自分たちの故郷でもその精神を活用し、実践していただければ、ありがたい限りです。
私達の会の究極の願いとしては、武士の先駆け、平将門ゆかりの地である坂東市にあるNPO法人 猿島野の大地を考える会を、宮澤賢治的世界観ともったいないの価値観から生まれた独自のバイオマス活用推進計画の発信基地として位置づけてもらい又、有機の里として後世まで残り伝えられていくことです。
第5 推進体制について
1、 推進体制の連携
グローバリゼーションの21世紀は、人口問題、地球温暖化、民族紛争、宗教戦争、難民問題、核の脅威、環境悪化、大国間の覇権争い、経済至上主義の横行、錯綜する情報の洪水、遺伝子というミクロの世界から宇宙というマクロの世界まで止まる所を知りません。このままいったら、46億年という地球史の長さに比べたら、とるに足りない短い人類史の中で、今正に人類存続が危ぶまれるところまで来ています。そして、私たち現代人は、文明の便利さは謳歌しても、上記のような地球的規模の難問の山の前では、個人の無力感に陥り、諦めるだけです。
しかし、ここに私達の会のもったいないピースエコショップが支援の主軸を置いているペシャワール会の代表、中村哲氏は難民問題、民族紛争、宗教戦争、環境の悪化、経済至上主義の横行、地球温暖化などに、具体的な行動を通してその答えを示しています。政情不安や気候変動のなかで急増する難民の人達に、水と食糧を自給出来る環境をと、国や宗教の違いを超えて、緑の大地計画を実行にうつして十数年、日本の昔の智慧をとりいれた灌漑法、PMS方式で高い評価を得、アフガニスタンの大統領からも信頼を得て、更に緑の大地計画をアフガン全土に広域拡大していこうとしており、平和のあり方を具体的に提示し、支援する私達にも元気、安心、希望、連帯感を与えてくれます。私達は、遠く離れた日本に居て、世界平和と言う遠大なテーマに関与でき、同時にもったいないものを活用して、バイオマス活用推進計画を実践しています。私達の会は、ペシャワール会をこのやり方で二千万円以上を支援してきました。この
私達の会は、ペシャワール会を支援し連携する事で、世界平和と環境保全の両者に関与できる悦びを知り、中村哲氏が行動で示す大和魂を「Big Peace Soul」とし、世界共通語にして広めれば、もったいないピースエコショップも世界に広がり、同時に争いのない、環境を汚さない社会の実現に少しでも近づくのではないかと思うようになりました。
2、 草の根の力
もう一つの地球規模の環境問題も避けては通れない難問です。特に世界中の市民が日々出す生ごみに関しては深刻です。生ごみというバイオマスを光合成細菌と組み合わせ、地球温暖化と核の問題を少しずつでも解決しながら、大地を豊かにできれば、人類の未来に光が見えてきます。汚れた大地、大気、水を有用な微生物によって蘇らせ、生物が生きやすい環境を整えることが、人類存続の鍵でもあります。一人一人が地球市民、どこでも地球の庭、誰でも仲間という広い優しさで日々を送れば、どんな人もたった一度しかない自分の人生を全うできると信じます。生ゴミを光合成細菌で自家処理し大地に還元し、微生物の豊かな大地から安全な食を頂く地球市民が増えれば、お金だけに頼らないゆとりのある平和な社会になっていくでしょう。
どんな大きな問題も、根本的、普遍的な解決の答えがあれば、あとは実践あるのみです。知っていても実践しない限り、その人は真の元気は得られません。二つの大和魂を発揮して、宮澤賢治が言う所の「イーハトーヴ」理想郷を、それぞれの場所で創っていきましょう。
次世代に少しでも明るい未来を!
3、 希望の光
私たちの会が独自に作成した「バイオマス活用推進計画」が、様々な世代
の人に受け入れられ、繋がり会えればこんな素晴らしいことはありません。
正に人類 皆家族です。そんな事が私達の会におこりました。かつて海外協
力隊でアフリカ体験をしてきた若い会員のお母さんが、自然と環境、世界平
和を大事に活動しているこの会に共鳴し、「大地っ子」という自然育児の部会
を立ち上げたいという申出があり、もったいない世代ともったいない教育が
繋がるいい機会だと喜んで受け入れ、月に二回この農場を活用しています。
幼いころに大地にしっかり足をつけて自然に抱かれて遊ぶなかで、三つ子
の魂がしっかり植え付けられれば、「三つ子の魂 百まで」という元気で人生
を全うできる可能性を持つ長寿社会が約束されるでしょう。この混迷深き現
代社会の中で、真に納得出来る生き方をまだ見付けられていないお母さんに
とって、又そのお子さんにとっていい機会になるかもしれません。
宮澤賢治は「永久の未完成 これ完成なり」「世界全体が幸せにならない限
り 個人の幸福はあり得ない」などなど沢山の言葉を残しています。宮澤賢
治的世界観を拠りどころに活動している私たちの会は、人間は永久に未完成
である事を許容し合いながらも、完成の方角だけは、即ち、世界平和と環境
保全の実現という方角だけは目指していく自由は与えられていると信じてい
ます。若い人達のご参加を心から歓迎します。